歯並びが悪い子供が急増!?
近年、歯並びが悪い子供が増えてきていると言われている。その割合はなんと、5人に4人、つまり90%にものぼるとのこと。なぜ歯並びが悪い子供が増えてきているのか?そしてそれはどのような影響を及ぼすのか。今回は3名の医師に詳細を聞いてみた。
アイデンタルクリニック 歯科医師 井上 敬介院長は、「歯並びが悪い子供が非常に多くなっている」と言う。遺伝的な要因ももちろんあるが、多くのケースでは生活習慣や、筋肉の使い方からくる体の発育異常が原因と言わており、さらに、歯科医の観点からみると最近の子供たちの「口元」の状態も原因の1つとして考えられるという。
歯並びが悪くなる原因の1つは「お口ぽかん」!?
朝日大学 歯学部 小児歯科学 齊藤 一誠教授は、子供たちの3人に1人が「お口ぽかん」になっている可能性があると言う。普段からお口をぽかんと開けて過ごしている状態は、「噛む」動作にも悪い影響を及ぼす。さらに、歯並びにも悪影響を与える可能性があり、歯並びが悪いことでお口がぽかんと開いてしまうことが継続する、という悪循環が生まれるという。
歯並びが悪いことが身体に与える影響とは
歯の発育が悪くなることにより、気道の成長も悪くなってしまう。子供が口呼吸だと、舌がうまく機能しないため顎の成長が鈍化してしまう恐れがあり、睡眠障害、つまり睡眠時に無呼吸状態となってしまう可能性がある。
悪い歯並びと睡眠時の無呼吸状態について
一宮西病院 小児科医 杉山 剛先生は、子供のいびきは睡眠障害への危険なサインだと言う。
寝ている間に気道が狭くなってしまい、呼吸が止まってしまうと睡眠の質が低下することにより、日中の子供たちのパフォーマンスにも大きく影響すると言われている。つまり睡眠の質の低下により、発育の遅れや学習能力の低下にも繋がることが最近わかってきた、と語る。
CTスキャンでわかる歯並びと気道の関係
なぜ歯科医が、歯並びと気道の関係について注目するようになったのか。一般的に、歯科医院では日々レントゲン写真撮影やCTスキャンをすることがあり、その中で歯並びが悪い子供たちの映像を確認すると、気道の変化も見えるようになってきている。
CTスキャン映像を見ていると、歯並びが悪い子供ほど気道が閉塞している状態になっていることがわかってきた。ただ、これには正しい対策と治療方法があるという。
対策法「MFT」とは
具体的な対策・治療方法としては、一部の歯科医院で行われている口腔筋機能療法、通称MFTというものがある。普段生活しているとあまり聞き馴染みのない言葉かもしれないが、MFTとは正しい舌の動きやお口周りの筋肉の動きをトレーニングし、習慣化していくことで歯並びの改善や正常な顎の成長を促すことができる対策法と言われている。
睡眠障害にも繋がりうる子供の「お口ぽかん」と歯並び。治療は早く行うことに越したことはないので、ご家庭に小さな子供がいる方々は、歯科医院で相談してみることをぜひ検討してみてほしい。
詳しくはお近くの歯科医院へお尋ねください。