テクノロジー 2022年3月25日

KDDIとソニー エンタメ体験創出のための技術検証を実施

5G SA ゲームストリーミング技術検証を実施

 KDDI株式会社(以下KDDI)は、ソニー株式会社(以下 ソニー)と共同で、「5G SA ゲームストリーミング」の技術検証を2022年3月23日(水)に東京国際フォーラム(東京都千代田区丸の内3丁目5番1号)にて実施。

当日は屋外にて、Xperia ™スマートフォンと遠隔地に設置したプレイステーション®4・プレイステーション®5を5Gスタンドアローン(以下 5G SA)でつなぎ、ゲーム操作のデモンストレーションが行われた。ゲームストリーミング専用スライスに接続したスマートフォンは、通常スライスに接続したものと比べ、高度なグラフィックを用いたプレイステーション®のゲームをスムーズに安定してプレイできることが確認できた。

 

ソニー×KDDIに至った背景とは

コロナ禍による非接触や巣ごもり需要、仕事や学校のリモート化により、ここ数年でデジタル化が進んだことで、今後は場所に縛られないライフスタイルが定着していくと両社は考えた。こうした中で、ソニーのエンタメに関する技術・アプリケーションとKDDIの5Gを中心としたネットワーク技術を駆使することで、場所に縛られない「どこでもエンタメ体験」を創出していきたいと考え、共同での技術検証を実施するに至った。

 

5G SAによる高精細なゲームストリーミング

自宅外からスマートフォンを使って自宅にあるゲームをプレイするゲームストリーミングを行う場合、現状では、LTEを利用する必要がある。その際、LTEの回線が混雑していると高精細なグラフィックや動きの激しいゲームをスムーズにプレイすることができないことが、現在の課題となっている。そこで、KDDIは5G SAのネットワークスライシング技術を活用することで、ゲームストリーミング用スライスに接続し、屋外でも高精細なゲームを安定したプレイで楽しめる環境を実現を目指している。

 

5G SAの真骨頂、ネットワークスライシングとは

ネットワークスライシングとは、ネットワークの各種リソースを論理的に分割し、さまざまなユースケースに応じて独立したネットワークを構築する技術である。サービスごとに専用スライスを用意することで性能がカスタマイズされたオーダーメイドのネットワークを構築することが可能になる。

ゲームストリーミング専用スライスを用意することにより、たとえば、対戦型ゲームでは回線の混雑状況に左右されずにスムーズで安定的なゲーム体験ができるようになる。また、RPGやオープンワールド型のゲームでは時間限定のクエストや友だちとの協力プレイ、隙間時間でのレベル上げなどを、場所に縛られず高精細なゲームグラフィックで楽しむことが可能になる。

ほかにも、オンライン授業に活用することで生徒が大人数でも双方向で円滑にコミュニケーションできたり、遠隔診療で高精細な映像をリアルタイムに確認できたりするようになるなど、今後より一層身近なサービス・シーンにこの技術が溶け込んでいくと考えられる。

 

ゲームストリーミングデモンストレーションの様子

デモンストレーション※では、ゲームストリーミング用スライスで繋いだ環境と通常スライスで繋いだ環境をそれぞれ用意し、両方とも疑似的に通信を混雑させた状況の中で操作性の違いを検証。通常スライスではキャラクターの動作が停止する瞬間がある一方で、ゲームストリーミング用スライスでは映像のフレーム落ちやゲーム操作に影響するような画面の停止はなく、一貫してスムーズな動きを実現していた。

           ※今回のデモンストレーションでは、屋外の外出先想定を東京国際フォーラム(東京都千代田区丸の内3丁目5番1号)、 自宅想定をKDDI DIGITAL GATE(東京都港区虎ノ門 2 丁目 10−1)として実施。

 

今後の取り組みについて

KDDI事業創造本部泉川氏はゲーム分野における今後の展望について「一般ユーザーの方々も、場所にしばられることなくどこにいてもゲームができるよう、引き続き尽力していきたい。」と述べていた。

ソニーとKDDIは5G SAを活用した新たなビジネスユースケースやエンターテインメントサービスの創出を目指した技術検証を2021年1月から推進しており、今回の5G SAゲームストリーミング技術実証のほかにも、5G SAの低遅延配信や8K VRを利用しサテライト会場でもよりインタラクティブな演出を可能にする検証も行っている。

5G SAの低遅延配信と安定性は、ゲームシーンやエンターテインメントシーンなど、さまざまな場面で新たな可能性を広げていくと考えられる。ソニーとKDDIによる、5G SA時代の新たなサービスの創出に今後も期待したい。